釈迦に説法

幸せについて考えてみる。

マネーの虎。

 昭和世代なら知っていると思うが、2003年ごろに、「マネーの虎」という公開投資番組があった。企業したい人間が、色んな社長の前でプレゼンし、認めてもらえたら投資してもらうという内容だった。番組の一番の肝は、投資の対象はプランよりも人間の好き嫌いで主に決まっていた所だったと思う。社長さん方がとても個性的で面白かったのが伝説の番組になった原因の一番の要素だったと思う。経営者というのは気難しくて、つまらない人間だと思っていたが、あの番組に出ておられた社長さんは、魅力的だった。自分で叩き上げでやって来た人間の強みから来る自信は、見ていて不快にならない。生活創庫の堀之内さん、漢気の塊の様な南原さん、貞廣さん、美空ひばりさんのご子息の加藤さん、なんでんかんでんの川原さん、ソフトオンデマンド高橋がなりさん。スピード出資の樋口さんに飲食の小林さんと安田さん。志願者だったのに虎側に座らさせられた岩井社長もいた。司会は何故か金とは関係なさそうなイケメン吉田栄作。演出だという事は解っていても楽しめる番組だったし、ヤラセは全く無かったそうで、その後の出演者の人生にも多大な影響を与えた。演出家が素晴らしかったのだろう。人選を含めて本当によくできている。この頃はまだテレビを見ていた気がする。悪いものばかりではないと信じさせてくれていた。最近のテレビでこれをやってももう通用しないだろうと思う。あの経歴を持った社長が集められないだろうし。元ホームレスや警察官から社長になって、机の横に何千万も置いて志願者と話をするなんて出来ないでしょう。まあだからテレビは面白くなくなったんだけど。コンプライアンスなんかも最近よく言われているが、これは昭和の弊害で、そんな事言ってる人は、絶対面白くない人だから。テレビは面白くない人を守るために、面白いものを遠ざけてしまった。人の不倫や、揚げ足取り、自分の生活には影響しない事柄をさも自分の事の様にのたまわる。それを見ている人達も同じ穴のむじな。テレビを見たいという人が減っているのは良い事なのかもしれない。面白くないもの、為にならない物に、普通の人は集まらない。この当時の社長さん方は本当に人間力があり、志願者も人それぞれ学ぶ所が多い人が多く集まっていた。今の人が見ても勉強には凄くなると思う。実際僕も色々勉強したし、感動もした。成功する人に共通するのは、人の言う事をちゃんと聞けるという事。自分に自信を持っていながらも違う意見を否定しない。他人を否定しない。企業家や経営者よりも、人として大切なものを持っているかどうか。堀之内さんなんかは滅多に投資せず、文句ばかり言っていたと叩かれていたけれど、経営者としては至極当たり前の事を言っていたと思う。こんな親父は嫌いじゃないし、頼りがいもある。夢ばかり語っていても、リスクを教えてもらえない。経験とはとてつもない財産だと知っておいた方が良い。人は失敗からしか学ぶ事は出来ないが、この社長達は失敗を受け入れる度量もあり、その期待に応え得る人には惜しみなく投資していた。実際の日本の世の中は夢よりお金、信用できる実績があるかどうか。似ている様で、実際に挑戦しようとすれば、リスクが邪魔で諦めてしまうのだ。それに対してこの社長達が挑戦の舞台を与えてくれていた。それが面白かった。結果より過程や人間の心模様が非常に勉強になった。真摯な努力が奇跡を起こした事もあった。失敗しても応援したくなった志願者もいた。失敗した経営者の漢気も見せてもらった。幸せはたくさんあった。ただただありがとう、面白かったと伝えたい。そんな番組。もう二度と見れないだろうなあ。ではまた。