釈迦に説法

幸せについて考えてみる。

キングダム。

 40歳になってからも、漫画は面白いと思うわけで。キングダムは面白いわけで。「史記」を想像だけでここまで描けるのは、まさに人の想像力の凄さ、面白さですね。作者の原泰久さんは、元サラリーマンとの事。色んな人を見て来たからこそのあのキャラクターの豊富さなんでしょうね。個々の魅力は枚挙にいとまがないですし、そのキャラクターと話す言葉が見事にマッチしているのが凄いですね。おそらくはそれぞれのキャラにモデルがいると思われます。その人を誇張し、しゃべらせている気がします。好きな人も、嫌いな人もたくさんいたんだろうなと解釈しています。同年代の大人たち、キングダムは読んで損はないですよ。成り上がりのストーリーだから、基本的に熱いです。男の熱気、時代の熱気があります。読者が誰が好きだとかどのシーンが好きだとか言っているのを聞くのも楽しいです。結果を先に解っていても読むのに支障がないのも面白いスタイルですね。原さんの想像力が楽しすぎて、筋書きが解っているのに先を考察してるのは不思議な現象です。みんな引き込まれているのが解ります。手法でいうと、素人ながらに思うのは、結末を先に決めておいて、わざとずらして感動させているなと思うところが多々あります。言い方は難しいのですが、ストーリーは普通起承転結で出来上がるじゃないですか。順番に起から承転結という流れ。でもキングダムは歴史的に決まっている結があるので、普通に書いていったら面白みに欠けるわけです。だから結から起承に向けて書いていくというのか。転の所は思い切り想像でずらして盛り上げる、みたいな。何言ってるか自分でもよく解らなくなって来ました。(笑)読んでない人は何言ってるか解らないと思うから構わず書くけど、合従軍の所で言うと、秦が勝つのは決まっていると。でもすんなりではない。一度勝ったと思わせておいて、李牧がその頭脳の凄さで裏をかき、「あれ?これ勝てるのか?勝つはずだよね?」となる。結と思われた事が実はまだ起承に過ぎず、政が自ら戦うというずらし、それでも勝てないという状況を作っておいてからの、山の民のとんでもない転で本当の勝利という結に向かう。少ない史記の言葉だけでここまで膨らませる事が凄いのだ。妄想好きな子供だったに違いない、原さんは。(笑)僕は現実の世でも天才好きなので、ぶっちぎりで王翦が好きである。天才廉頗に認められ、オルドとの戦いの作戦での裏の書き方の凄さ、頭脳で心理戦を制し続けた挙句、裏の裏をも読んで秦を救ったので完全に虜になった。そもそも仮面が渋いのだ。(笑)実際歴史でも無双だったんだけど、主を持たない設定にしてあるのがまた楽しみだ。息子にも冷たいし。原さんが李牧好きなのは読んでて解るし、彼も天才なのだが、王翦の方が大胆で好きだ。完全に自分が一番偉いと思っているのが素晴らしい。(笑)そんな性格がこの後何を引き起こすのか?いやぁー楽しみ。ライバルは未だ登場していない項燕しかいないと思っているが、そもそも項燕が出て来るかどうかも解らない。漫画もどこまで描くのかも解らない。ただただ楽しみにするだけだ。

 天才好きだと書いたが、力とは絶対なのだと思っている。誰がなんと言おうと、力は絶対。強いものは強い。偉いものは偉いのだ。それを本人が認めているぐらいが丁度良い。善人が情に訴えようと、時代が裏切ろうとも、全てを跳ね返せるから天才なのだ。天才はそれゆえ孤独になり易い。敵になるものがまれにしかいないからだ。キングダムの世界は天才だらけだから本当に面白い。個々が個々の強さを持っている。その全てが魅力的だから退屈しない。相性によっても勝敗は変わると解るから想像も楽しい。人心掌握術、武力、本能、知能、戦術、それぞれで戦わせると、順位ははっきりしてくる。トータルで見ると、最強は王騎か廉頗。見てみたいのは王翦対麃公。王翦が負ける事も十分あるでしょう。こんなの考えてたら、寝れないぐらい面白い。キャラクターが確立されてる漫画で、これだけ多数のキャラがいる漫画を僕は知りません。迷わず読めよ。読めばわかるさ。ありがとー。原先生、変な終わり方だけは勘弁して下さいね。(笑)ではまた。